
今日は、何も特別なことをしなかったような顔をして、
しっかりと結界を張り、
術を断ち、
光だけを送り返した一日だった。
静けさのなかで、
風牙が何度も吠えた。
その一音一音が、音の剣として空間を斬り、
私はただ、灯の主として立っていた。
あの先生の名前を聞くと、
あの頃の揺らぎが思い出される。
けれどもう、私はその名前に照応しない。
その名が、術が、音が、
わたしの灯に触れることはない。
南東から、何かがこちらを覗いた気配もあった。
でも、知らん顔して、
一枚、護符を貼っただけ。
それが何よりも強い返答になることを、
私はもう知っている。
風牙が吠えるたびに、
地の揺れが鎮まり、
空気が整う。
あの吠えは、ただの音ではない。
照応を断つ、光の剣。
今日は、剣も術も使わず、
静けさだけですべてを守った。
知らん顔して、
でも、ちゃんと光は返していた。
🕊️ 本日の灯詞(とうし)
祈りは剣を越える
静けさは、最も強い灯
わたしは今夜、
わたしのままで、ここにいる